【2024年版】入試結果偏差値表が公開。上がった学校、下がった学校は?

データー編

3月末に2024年の入試の結果を反映した日能研の偏差値表が公開された。前年2023年の入試結果偏差値表と比較して、2024年は偏差値が上がった、あるいは下がったなど各中学がどのように変動したかを調べてみた。※調べたのは男子の表のみ。一部偏差値の記載がない学校もある

2024年入試結果偏差値表

こちらは2023年度入試の結果を反映したR4偏差値表
※R4偏差値:合格ライン80%の偏差値

偏差値が上がった中学

偏差値が2以上あがった主だった中学をピックアップしてみる。

早稲田実業学校中等部 毎年下がったり上がったり

早実(2/1) 62→64 (+2)

早実が昨年は65→62と見た目上の偏差値を下げたが、実質難易度はさほどかわってないのではないかという話をした。2024年は下がった偏差値がまた上がったわけだが実態はどうなのか。

志望者数の変化 倍率増で難化

2021年 偏差値64 定員85人
受験者数329人 合格者数102人 実質倍率3.23倍
2022年 偏差値65 定員70人
受験者数308人 合格者数86人 実質倍率3.58倍
2023年 偏差値62定員70人
受験者数292人 合格者数82人 実質倍率3.54倍
2024年 偏差値64 定員70人
受験者数330人 合格者数87人 実質倍率3.79

早実と言えば、2022年に男子の定員が85→70人と2割近くカットされて実質的に入りづらくなったわけだが、2024年の難化の要因は何かと言えば、単純に受験者数が増えて(前年比113%)、実質倍率が上がったことだろう。3年前の2021年は倍率3.23倍だったのが、2024年は3.79倍である。

四谷大塚の偏差値 こちらも難化

2021年 早実 Y63 N64
2022年 早実 Y63 N65
2023年 早実 Y63 N62
2024年 早実 Y64 N64

こちらは四谷大塚(Y)と日能研(N)の偏差値推移。2024年は結論から言えばどっちの合否判定ともに難化した。

前年偏差値が下がると翌年は上がる都市伝説

数年ウォッチしているとわかるのだが、前年に偏差値が下がるとその翌年は志望者が増えて難しくなる傾向がある。またその逆もしかりで、前年に偏差値が上がるとその翌年は敬遠されてやや易化する。2024年の早実は典型的なそのパターンだった。

(日能研での受験者数増減)
2023年            2024年
早稲田実 62 受験者+20人 →偏差値64
早大学院 64 受験者ー17人 →偏差値64

↑は日能研での受験者数の前年比較である。早稲田付属狙いの受験者の悩ましいところは2/1に早実と早大学院が同日に試験があることである。どちらかを選ばなければならない。立地も国分寺(早実)と上石神井(学院)と比較的近い位置にあるので、ほぼ完全競合と言っていい。日能研での偏差値をみて、早稲田付属ならどっちかに入れればいいと思った層が今年は低かった偏差値の早実に流れたと言えそうだ。(ちなみにもう一つの競合にあたりそうな慶應普通部だが、日能研での受験者数に変化はなかった。つまり競合に当たらないこともこれでわかる)

軒並み上昇! 算数1科目受験校

2/1午後 2023年→2024年
巣鴨(算)   63→65 (+2)
世田谷(算)  61→63 (+2)
鎌倉学園(算) 62→63 (+1)
2/2午後
高輪(算)   61→63 (+2)

午後試験で算数1科目受験できる上記の4校が軒並み上昇した。

四谷大塚の偏差値でも概ね上昇

巣鴨(算)   Y64→64 (+0)
世田谷(算)  Y60→61 (+1)
鎌倉学園(算) Y62→57 (▼5)
高輪(算)   Y60→61 (+1)

こちらは四谷大塚(Y)の2023年→2024年の偏差値推移。四谷大塚の方でも難化の傾向となった。なぜか鎌倉学園の算数はマイナス5ポイントの大幅減だった(理由は受験者が167名→97名と大幅減少した影響が大きそう)。

算数1科目受験は難しいのかお得なのか

前年比で見ると難化傾向にある算数1科目受験だが、他の受験日と比較して難易度はどうなのか。

巣鴨

巣鴨    N偏差値
2/1午前   55
2/1午後(算)   65
2/2午前   60
2/4午前   59

巣鴨中は2/1午前に比べると偏差値が10ポイントも高い。他の日に比べても5ポイント程度高くなっている

世田谷学園

世田谷    N偏差値
2/1午前   52
2/1午後(算)   63
2/2午前   57
2/4午前   58

世田谷学園も巣鴨と同じ傾向にある。2/1では午前と午後で11ポイントも差がある。

鎌倉学園

鎌倉    N偏差値
2/1午前   52
2/1午後(算)   63
2/2午前   57
2/4午前   55

鎌倉学園も同じ傾向になった。やはり2/1では午前と午後で11ポイントも差がある。逆にいうと、2/1午前受験のお得感がものすごい。

高輪

高輪    N偏差値
2/1午前   55
2/2午前   56
2/2午後(算)   63
2/4午前   55

高輪中も同じ傾向となった。2/2午後だけもはや別の学校みたいである。

合格50%のR3偏差値と実質倍率はどうか

R4  R3     倍率
巣鴨(算)   65  58 (▼7) 2.3倍
世田谷(算)  63  59 (▼4) 1.8倍
鎌倉学園(算) 63  60 (▼3) 3.1倍
高輪(算)   63  59 (▼4) 3.8倍

合格確率50%のR3偏差値でも60近くあり、他の日程のR4偏差値よりも高い。算数の偏差値が60はないと1科目受験はなかなか難しいかもしれない。




偏差値が下がった中学

一方、下がってしまった中学である。

麻布 言わずと知れた男子御三家のひとつ

麻布 69→67 (▼2)

前年から偏差値が2下がった。さて、何か要因はあるのか。

R4-R3偏差値と実質倍率の推移

R4  R3    倍率
2018年 67  62 (▼5) 2.4倍
2019年 67  62 (▼5) 2.7倍
2020年 67  65 (▼2) 2.5倍
2021年 67  64 (▼3) 2.2倍
2022年 68  64 (▼4) 2.4倍
2023年 69  66 (▼3) 2.4倍
2024年 67  64 (▼3) 2.3倍

ここ数年、偏差値67で推移し、昨年が高まって69になったが今年平均値に戻っただけで、難易度が大幅にかわったわけではないと見てとれる。2024年は開成以外の超難関校の志願者、受験者数が軒並み減っており、麻布も御多分に洩れなかった。(ちなみに四谷大塚もほぼ偏差値68前後で推移)

2024年は超難関校の志願回避の年だった?

受験者数 2023年 2024年 前年比
麻布   880人  796人  90.4%
海城①  545人  477人  87.5%
海城②  1076人 1005人  93.4%
開成   1193人 1190人  99.7%
武蔵   579人  530人  91.5%
駒場東邦 586人  627人  107.0%

超難関男子校のほとんどが前年比割れどころか、1割近く受験者数を減らしていた。大幅に難易度はかわってないと思われるが、麻布も84人も受験者数減らしたので、今年合格した人はラッキーな年だったといえよう。

芝国際 前年炎上、今年は志願者大幅減

前年に炎上したとして昨年の分析コーナーでも書いた。

前年なんで炎上したかと言えば、
・説明会では「たくさん合格者出しますよ」って言っておきながら、合格者を絞ってすべての入試日が倍率10倍超。
・また合格発表の予定時刻が23時だったが、遅れに遅れて24:45だった。その日の結果を待ってから翌日の受験を決める家庭はそれができなかった。(だいたい23:59が〆切)
・試験後、子どもが出てくるのに時間がかかった
・問題ミスがあり、算数などは2問が全員正解扱いになった。算数が得意な受験生は不利となった。
・合格者への証書授与をまだ後日受験している人が目にする形で行い、不合格者への配慮がなかった。
などである。

大幅に減った志願者、受験者数

そんな炎上した学校を回避するのは当然だろう。逆に回避する人が増えると睨んで敢えてチャンスに懸ける家庭もいるだろうが、普通の人は3年間頑張ってきた集大成の受験でそんなギャンブルはしないはずだ。やはりだが2024年は志願者数、受験者数が大幅に減った。

2023年 志願者数 4681人
→ 2024年 志願者数 561人(前年比88.1%減)
これが売上高だったら社長は更迭だろう。

受験者数の日程別2023年→2024年推移

2/1午前 
受験者数328人→ 45人
合格者数28人→30人
実質倍率10.5倍→1.5

2/1午後
受験者数597人→98人
合格者数37人→62人
実質倍率16.1倍→1.6

2/2午後
受験者数404人→88人
合格者数30人→44人
実質倍率13.5倍→2.0

2/3午後
受験者数530人→96人
合格者数31人→46人
実質倍率17.1倍→2.1

高倍率だったのが、2倍前後で落ち着いた。開成だって2.8倍なんだからこれが適正と言ったところだろう。

偏差値2023年→2024年推移

日能研での結果偏差値が記載されてない(おそらく受験者数が少なかったからサンプルが取れなかったためだろう)ので、四谷大塚での偏差値(R4)を載せる。

23年→24年
2/1午前 52→46(▼4)
2/1午後 55→51(▼4)
2/2午後 55→51(▼4)
2/3午後 55→51(▼4)

倍率が”普通の学校”並になったことで、各日程の偏差値が軒並み4下がった。逆に言うと、学校側は偏差値を上げる操作をしたかったら、倍率10倍以上に合格者を絞ればいいということだ。近年、「共学化、国際化」をして、偏差値と人気急上昇を企てる学校があるが、このように異常な高倍率があったら要注意。少子化で学校も志願者集めで大変なのはわかるが、こういったあからさまなのはやめてほしいものだ。




偏差値2以上変化があった中学一覧

2/1午前

上がった学校
早実 62→64 (+2)
明大八王子 53→55 (+2)
公文国際 49→53 (+4)
安田先進① 49→52 (+3)
桐蔭① 49→51 (+2)
森村 48→50 (+2)
目黒日大① 42→45 (+3)
横浜創英① 40→45 (+5)
サレジアン世田谷① 41→44 (+3)
足立① 38→43 (+5)
駒込① 39→43 (+4)

下がった学校
麻布 69→67 (▼2)
都市大付① 60→56 (▼4)
都市大等々力 56→54 (▼2)
独協① 50→48 (▼2)
日大藤沢① 46→43 (▼3)
創価 45→42 (▼3)
日大第二① 44→42 (▼2)

2/1午後

上がった学校
巣鴨(算) 63→65 (+2)
世田谷(算) 61→63 (+2)
独協② 52→57 (+5)
三田国際② 52→57 (+5)
ドルトン①後 49→53 (+4)
日本大学A② 51→53 (+2)
東京電機② 49→52 (+3)
駒込② 47→49 (+2)
横浜創英② 45→48 (+3)
多摩目黒① 44→47 (+3)
日工大駒場② 41→45 (+4)
文教大② 40→42 (+2)
関東六浦A② 38→40 (+2)

下がった学校
桜美林①後 47→44 (▼3)
工学院①B 43→41 (▼2)
聖学院①アド 44→40 (▼4)

2/2午前

上がった学校
桐朋② 61→63 (+2)
明大明治① 59→62 (+3)
巣鴨② 58→60 (+2)
明大中野① 57→59 (+2)
横浜創英③ 44→48 (+4)
湘南学園B 44→46 (+2)
佼成② 40→44 (+4)
日大第三② 40→44 (+4)
多摩大目黒② 38→43 (+5)

下がった学校
青山学院 59→57 (▼2)
城北② 59→57 (▼2)
世田谷② 59→57 (▼2)
桐光学園② 51→49 (▼2)
宝仙② 47→45 (▼2)

2/2午後

上がった学校
高輪(算) 61→63 (+2)
等々力②S特 60→62 (+2)
開智日本橋② 57→59 (+2)
淑徳(東大② 55→57 (+2)
桐蔭② 53→56 (+3)
日本大学B 49→54 (+5)
順天②B 46→50 (+4)
穎明館③ 45→47 (+2)
サレジアン世田谷③ 40→44 (+4)

下がった学校
青稜②B 57→55 (▼2)
かえつ②(特) 54→51 (▼3)
日大豊山② 51→49 (▼2)
日大藤沢② 51→49 (▼2)
宝仙理数②特 47→45 (▼2)
桜美林② 46→44 (▼2)

2/3午前

上がった学校
県立相模原 60→62 (+2)
都市大付③(Ⅱ・Ⅰ) 58→60 (+2)
都立三鷹 58→60 (+2)
明大八王子A② 55→58 (+3)
都立富士 50→52 (+2)
関東学院C 47→49 (+2)
佼成③ 40→44 (+4)
日工大駒場⑤ 42→44 (+2)

下がった学校
都立白鴎(般) 58→54 (▼4)
山手学院B 52→49 (▼3)
東大附 50→48 (▼2)
国大横浜 48→45 (▼3)

2/3午後

上がった学校
サレジアン世田谷④ 43→46 (+2)

下がった学校
芝国際③特 55→50 (▼5)

2/4午前

上がった学校
芝② 63→65 (+2)
サレジオ学院B 61→63 (+2)
巣鴨③ 57→59 (+2)
法政第二② 56→58 (+2)
淑徳巣鴨③ 42→47 (+5)

下がった学校
中央大附② 60→58 (▼2)
鎌倉学園③ 57→55 (▼2)
穎明館④ 43→41 (▼2)

2/4午後

上がった学校
なし

下がった学校
なし

2/5以降

上がった学校
日本学園③ 47→50 (+3)
サレジアン世田谷⑤ 42→47 (+5)
横浜創④ 43→45 (+2)

下がった学校
湘南学園D 50→44 (▼6)