2022年度攻玉社中入試に実際にした対策~社会編~

データー編

※2022年第2回入試を反映(2022/8/30更新)

入試問題の対策が絶必とは頭ではわかっているけど、では実際にどのように対策をすればいいのか。とりあえず対策したことをここに書きたいと思います。
(※2021年①、2021年②のように、丸数字はそれぞれ2021年度第1回入試、第2回入試を示します)

入試説明会は参加絶対

入試説明会はいわゆる学校説明会とは違って、入試の傾向や対策をわざわざ教えてくれます。してくれる学校としない学校があるが、攻玉社は開催してくれます。これに出ない手はない。2022年度入試はコロナカだったため、すべて?が動画配信になりました。そこの動画で言っていたことと実際にした対策をまとめました。

※入試説明会は学校のサイトから登録して申し込むことができる

①公民分野を独立し、大問2⃣から3⃣へ

これは大きな変革ですね。これまでは大問2つで、1⃣歴史、2⃣地理。公民的なものは1⃣の中の設問で出ることが多かったが、今回の入試説明会で3⃣公民の大問を独立するとのこと。つまり、公民分野の問題の配点を増やすと言っているようなもの。実際に2022年度は3⃣で7問(10点分)が出題された。2021年①は3問(6点)、2020年①は2問(4点)から配点が増えている。

②3分野をまんべんなく学習せよ

過去問を見ても歴史は各時代から戦後の現代までまんべんなく出題されている。

③人物名や語句は漢字で正確に書けるように

社会でも漢字はトメハネをきっちり見るとのこと。攻玉社の社会は漢字で書かせる指定問題がそこそこある。その漢字のトメハネもきっちり見るとのこと。指定されているのにひらがなだったら不正解。

⓸過去問に目を通せ

いろいろな学校の説明会に行って、過去問に目を通せと言ってくる学校は多い。これはある意味ヒント。実際に理科などでは5年前の問題がそっくり出た。

⑤時事問題に興味を持って

時事問題は毎年出題されている。説明会動画では、保護者からどのくらいの時期までをやればいいかと聞かれることが多いが、時事問題は12月いっぱいくらいまでの範囲までやればいいのではと言っていた。



これらのヒントにどう対策すればいいか

①公民分野の対策

大問で独立すると言っているのだから、めっちゃやるしかない。ではどうしたか。日能研の入試速報に1月校の出題された問題がたくさんアップされていたので、1月中はその問題を印刷して公民分野をひたすら解かせた。社会の問題集などによくある基本的な問題はあまりおすすめしない。入試問題は直球で聞いてこないからである。

②まんべんなく

1月中は、とにかく埼玉などの1月校の実際の入試問題をひたすら解いた。そして「正しいものを選べ」という問題では、他の誤った設問について、なんで誤っているかも必ず確認した。これ大事。

③漢字

これも目の前で必ず漢字を書いてもらった。「わかってるよ」という子供の言葉ほど信頼できないものはなくって、実際に書かせるとけっこう間違えている。なので、基本は間違えているもんだと思って確認した方がいい。ちなみに、間違えた漢字は付箋に書いてトイレに貼って、数日後に改めて確認した(で、やっぱり間違えている)。攻玉社の社会はけっこう厳しくトメハネを見てると言われている。

⓸⑤過去問と時事問題対策

ここからはちょっと長らく述べたい。時事問題はやはりその年の1月校の問題がある程度対策になる。なので、1月校の入試問題でどのあたりが出ているかを分析して、問題を解いた。



攻玉社の時事問題

攻玉社では必ず時事問題が出題されている。

↑のように直近の2021年①では、最初の問題からいきなり時事問題だった。

2021年①:3問(6点)、2021年②:3問(6点)
2020年①:6問(7点)、2020年②:6問(11点)
2019年①:5問(8点)、2019年②:6問(11点)

と過去3年間で50点中1割~2割程度の配点なので馬鹿にできない。

時事問題の傾向①~首相と選挙~

内閣総理大臣がかわった年や大きな選挙があった年は必ず出題されている。選挙がなかった年でも公民的な問題で選挙そのもののしくみを問う問題が出題されている。

2020年:菅義偉が99代内閣総理大臣に就任、東京都知事選
→2021①:菅首相の前の安倍晋三前首相を書かせる問題が出題。②:都知事選で圧勝した小池百合子を書かせる問題と、菅内閣の文部科学大臣を問う問題が出題

2019年:参議院選挙
→2020②:参院選の結果を問う問題が出題

2018年:参議院の定数が改正
→2019①②:参議院の定数と増加数を問う問題が出題

2017年:9月に衆議院解散、10月に衆議院議員総選挙
→2018①:衆議院解散のときの国会の種別を問う問題が出題

2016年:参議院選挙、都知事選
→2017①:女性都知事は何人目かを問う問題、①②参議院の任期や改選数を問う問題が出題

2015年:国政選挙なかったが大阪で住民投票
→2016①:なし、2016年②:大阪住民投票に関する問題が出題された

2021年は、岸田文雄新首相誕生、衆議院総選挙があったため出題可能性大かと思っていた。
→2022①②では出題されなかった

時事問題の傾向②~世界遺産~

日本のものが世界遺産に選ばれた年は要注意。必ず何かしら出題されている。また過去に選ばれた世界遺産も遡って出題されることもある。

2020年:なし
→2021①②ともに出題なし

2019年:「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に選ばれる
→2020①:百舌鳥を漢字で書かせる問題、世界農業遺産の「清流長良川の鮎」の魚名を書かせる問題、世界遺産の白川郷の建築方法「合掌造」を漢字で書かせる問題が出題、2020②:なし。

2018年:「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に
→2019①②:出題なし

2017年:「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が世界文化遺産に
→2018①:前年に選ばれた国立西洋美術館本館の建築家「ル・コルビュジエ」をカタカナで書かせる問題、2018②:「宗像」を漢字で書かせる問題、その所在する県名も漢字指定、世界自然遺産の屋久島の形を選ばせる問題が出題

2016年:「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」が世界文化遺産に
→2017①:無形文化遺産「和食」に関連して国連教育科学文化機関「ユネスコ」をカタカナで書かせる問題、2017②:世界遺産の姫路城の所在地を問う問題、↑の建築作品がある「国立西洋美術館」を選ばせる問題が出題

2015年:「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」が世界文化遺産に
2016①:↑の遺産のうちの一つ「軍艦島(端島)」が炭鉱の町であることを選択する問題、2016②:↑の遺産のうちの一つ「松下村塾」の高杉晋作の漢字をあてる問題が出題

2021年は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」と「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に選ばれたので出題可能性大。
→2022①②で出題された(後述)

時事問題の傾向③~ノーベル賞~

ノーベル賞はその年そのものの出題ではなく、過去の有名な受賞者について出題されることがある。また理科でも出題される場合もある。

2019年:ノーベル化学賞 吉野 彰
→2020年①:同じ時期に起きた出来事を選ぶ設問の中に湯川秀樹のノーベル物理学賞受賞の記述が出題。※理科では出題されず

2018年:ノーベル生理学・医学賞 本庶佑
→2019①②:出題されず。※理科でも出題されず

2016年:ノーベル生理学・医学賞 大隅 良典
→2017年①:大隅氏が受賞したノーベル賞のジャンルを問う問題ノーベル平和賞の佐藤栄作の漢字を問う問題が出題

2015年:ノーベル物理学賞 梶田 隆章、ノーベル生理学・医学賞 大村 智
→2016①:ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹の漢字を問う問題が出題

2014年:ノーベル物理学賞 赤崎勇、天野浩、中村修二
→2016年②:理科で発光ダイオードが何色かの問題が出題
→2022年①:理科で2016年①と同じ問題が出題

2021年は真鍋叔郎がノーベル物理学を受賞。
→2022①理科で出題!

時事問題の傾向⓸~アルファベット問題~

WHO(世界保健機関)のようなアルファベット時事用語に関する問題が毎年のように出題されている。とくに直近3年間はアルファベットを直接書かせている。

2021年①:ILO(国際労働機関)、2021年②:WFP(国際連合世界食糧計画)を直接アルファベットで書かせる問題が出題

2020年①:IR(統合型リゾート)、2020年②:INF(中距離核戦力)全廃条約を直接アルファベットで書かせる問題、TPP(環太平洋経済連携協定)の日本語名称を漢字で書かせる問題が出題

2019年①:NAFTA(北米自由貿易協定)、2019年②:IAEA(国際原子力機関)を直接アルファベットで書かせる問題が出題

2018年①②:出題なし

2017年①:UNESCO(国連教育科学文化機関)をカタカナで書かせる問題が出題、2017年②:出題なし

2016年①:IMF(国際通貨基金)かIAEA(国際原子力機関)を選択させる問題、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)かNPT(核拡散防止条約)を選択させる問題が出題、2016年②:TPP(環太平洋経済連携協定)の取り決めの内容を問う問題、ODA(政府開発援助)かGDP(国内総生産)かを選択させる問題、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)かUNCTAD(国際連合貿易開発会議)かを選択させる問題が出題

→2022①②社会で出題!(後述)



2022年度①②では時事問題はどうだったか

2022年①では、時事問題はなんとこの1題だけしか出題されなかった(配点も1点と予想)。

2021年の選ばれた世界遺産の「北海道・北東北の縄文遺跡群」に絡んで、それを選ぶ機関のアルファベットという複合技で出題された。UNESCO(国連教育科学文化機関)は超基本用語であり、2017①にも出題されており、過去問対策をしていれば難しくなかったといえる。ていうか、1問しか出題せれず、拍子抜けというところか。

2022年②でも時事問題は2題出題。

新型コロナの名称「COVID」を選択肢から選ばせるアルファベット問題として出題。もう1題は縄文時代の遺跡の中で誤っているものを選択する問題が出題。「北海道・北東北の縄文遺跡群」のうちの三内丸山遺跡が選択肢の中に登場。

過去問題の傾向①~漢字で書かせる人名問題(歴史)~

攻玉社の社会では漢字で書かせる問題が多く出題されている。とくに人名は多い。実際に漢字指定で出題されたのが以下。

2021年①:安倍晋三、藤原不比等、陸奥宗光、森鴎外、吉野ケ里遺跡、北里柴三郎、2021年②:小池百合子、渋沢栄一、樋口一葉、津田梅子、大隈重信、平治の乱、西洋紀聞

2020年①:百舌鳥、蔵屋敷、農地改革、公地公民、寄合、治安維持法、国民投票、防衛省、2020年②、紫式部、配給、渡来人、前島密、小選挙区比例代表並立、習近平

2019年①:板門店、義満、外国船打払令、聖武、切通し、後鳥羽、2019年②:大政奉還、六波羅探題、建武、坂上田村麻呂

2018年①:福沢諭吉、尾崎行雄、リットン、佐藤栄作、2018年②:板垣退助、小村寿太郎、マッカーサー

2017年①:平賀源内、藤原純友、黒田清隆、新井白石、2017年②:杉田玄白、野口英世、西郷隆盛、足利義政

2016年①:松平定信、徳川秀忠、内村鑑三、大隈重信、2016年②:吉野作造、尾崎行雄、幸徳秋水、近衛文麿

2017年、2016年はこのほかに一部の漢字だけわかればいいという問題もあったが、年々配点が増えて、近年は10~14点くらいである。

2022年①②で歴史分野の漢字指定問題は

2022年①:秀頼、伊能忠敬

2022年②:鶴岡八幡、徳川吉宗、延暦、千歯扱き、松尾芭蕉、液状化

2022年①はたったの2問の出題だったが、2022年②では5問出題。

過去問題の傾向②~漢字で書かせる地名問題(地理)~

歴史に限らず、地理でも漢字で書かせる問題が多く出題されている。県名や県庁所在地は絶必。

2021年①:博多駅、福岡市、2021年②:新下関駅、福岡市、松江市

2020年①:石川県、佐賀県、愛知県、2020年①:なし

2019年①:なし、2019年②:薩摩藩、静岡県、京都府、鹿屋市、大隅半島、笠之原

2018年①:岐阜県、京都府、神奈川県、千葉県、東京都、岐阜県、愛知県、木曽川、長良川、揖斐川、2018年②:中国、韓国

2017年①:なし、2017年②:なし

2016年①:なし、2016年②:なし

2017年、2016年はこのほかに一部の漢字だけわかればいいという問題が出題されている。2021年は新幹線の駅名を書かせる問題も出た。

2022年①②で地理分野の漢字指定問題は

2022年①:浅間山、下田、群馬県、山梨県、沖縄県、岐阜県

2022年②:出題なし

と、県名を漢字で書かせる問題が出た。岐阜県は地理的にも特徴があり漢字力を問うにもちょうどいいのか頻出。今年も出た。

過去問題の傾向③~公民問題~

公民は2022年から大問3⃣に独立昇格して配点も高まったたため対策が必要であるが、過去問を眺めていれば、出題されているのはだいたい同じである。天皇の国事行為、基本的人権、選挙のシステム(選挙があった年は絶必)、内閣・国会・裁判所の役割である。

2021年①:3問(基本的人権、天皇の地位と国事行為、内閣・国会・裁判所)
2021年②:3問(基本的人権、天皇の地位と国事行為、内閣・国会・裁判所)
2020年①:2問(国民投票、省庁)
2020年②:2問(基本的人権、選挙)
2019年①:3問(選挙、憲法の改正、国会の権限)
2019年②:3問(選挙、憲法の改正、内閣の権限)
2018年①:6問(憲法の改正、選挙、内閣総理大臣と内閣と国会、人権、税金、国会の国会の権限)
2018年②:6問(憲法の改正、基本的人権、天皇の地位と国事行為、憲法、税金)
2017年①:3問(予算と税金、直接請求権、選挙)
2017年②:3問(憲法、国会、選挙)
2016年①:3問(精神の自由、憲法改正)
2016年②:3問(地方自治、憲法改正)

2022年①で公民分野の問題は

2022年①:7問(憲法、天皇の国事行為、平等権、地方自治、内閣、裁判所、金融・財政)
2022年②:7問(憲法、天皇の国事行為、平等権、地方自治、内閣、裁判所、金融・財政)

だいたい過去問をやっていれば対策になるかなという感じ。



社会は1月の詰め込みで伸びるのは本当です

・1月は時事対策も兼ねて1月校の入試問題を入手して問題を解く。
※日能研生ならサイトからDLできる。四谷大塚もメールを登録していればDLできる。
・解いていればわかるのだが、だいたいどの中学も出題してる問題が同じだということがわかる。なので、そこで間違えたものを手っ取り早く覚える。
・日能研からもらう受験用時事問題集「重大ニュース」を覚えるのも大事だが、すべてを覚えるのは無理なので↑で述べたような出やすい分野を対策する
・攻玉社独自の時事対策。2022年①については、1問しか出題されなかったので、赤本が発売されたら2022年②の問題を見て、対策を練るのがよい
・漢字がちゃんと書けるか、トメハネもしっかり見る。わりと漢字が書けてない。
・攻玉社の過去問は①②ともに1月中にもう一度やる。1冊分(3年分)だけでなく、2冊分(6年分)をやる。直近3年間で出題されてなくても、6年間までさかのぼると出題されているものがある。時間を計って解くのではなく、その場で毎回答えを確認して定着率を見るのがよい。
・間違ったものは付箋に書いてトイレに貼っておく。事あるごとに本人に確認する。入試中はその付箋をノートに貼って、電車の中や試験時間の合間に確認させる。
・そして最後に一番大事なのは、親が一通り問題を解いてみる。そしたらだいたい出てくる問題がわかる。傾向を把握して、対策を練るのは親の仕事である。

↑トイレの壁。